謎解きKOUBA-1

謎解きKOUBA-1


【れいあ】
伯爵。
ここが、
有限会社いづみ商会さんですね。
公式サイトには、
「粋なビニール屋さん」
って書いてあります。
なんだか、
すごく気になる言葉ですね。

【ウスラタラーズ伯爵】
……ふむ。
ビニールか。
燕三条と聞けば、
金属加工や刃物を思い浮かべる者も
多いだろうが――
どうやら、
それだけではないようだな。

【れいあ】
はい。
いづみ商会さんは、
PVC――
軟質塩ビを使った
パッケージ製品の
企画・製造・販売を
行っている会社なんです。

【ウスラタラーズ伯爵】
パッケージ製品、か。
具体的には、
どのようなものを作っているのだ?

【れいあ】
たとえば、
包丁やノコギリ、
ハサミのケース。
作業工具のケースや、
いろいろなカバーなどです。
お客さんの要望に合わせて、
形や用途を考えながら
提案しているそうですよ。

【ウスラタラーズ伯爵】
なるほど。
つまり、
包丁や工具そのものを
作っているのではない。
それらを包み、
守るものを作っているわけだな。

【れいあ】
そういうことですね。
燕三条のものづくりって、
完成した道具だけを見ていると
気づかない仕事も
たくさんあるんですね。

【ウスラタラーズ伯爵】
ふむ。
主役だけを見ていては、
ものづくりの全体は見えぬ。
作る者がいて、
守る者がいて、
届ける者がいる。
一つの製品の周りには、
多くの仕事がつながっているものだ。

【れいあ】
伯爵。
ところで、
このビニールのケースって、
どうやって作っていると思います?

【ウスラタラーズ伯爵】
ふむ。
縫う……
というわけではなさそうだな。

【れいあ】
正解です。
いづみ商会さんでは、
「高周波ウェルダー」
という機械を使って、
軟質塩ビを溶着したり、
型抜きしたりして
製品を作っているそうです。

【ウスラタラーズ伯爵】
高周波ウェルダー、か。
普段何気なく目にしている
ビニール製品の裏側にも、
我々が知らぬ加工技術が
使われているというわけだな。

【れいあ】
しかも、
加工は一つ一つ手動で行って、
見た目のきれいさや、
接着の強さにも
気を配っているそうですよ。

【ウスラタラーズ伯爵】
なるほど。
機械が仕事をするからといって、
すべてを機械任せに
できるわけではない。
機械を使いこなし、
仕上がりを見極める。
そこにはやはり、
人の技が必要なのだな。

【れいあ】
それに、
素材選びにも
ちゃんと理由があるんです。
軟質塩ビは、
気温によって硬さが変わるので、
季節や製品に合わせて
シートを使い分けているそうです。

【ウスラタラーズ伯爵】
気温によって、
素材の性質が変わるのか。

【れいあ】
はい。
特に透明シートは、
新潟の冬でも
硬くなりにくい特注仕様のものを
使っているそうですよ。
寒い時期でも
割れにくくするための工夫なんですね。

【ウスラタラーズ伯爵】
……ほう。
ただ、
同じ形に作れば良いのではない。
どこで使われるのか。
どんな環境で使われるのか。
そこまで考えて、
材料を選んでいるわけだ。

【れいあ】
こういう工夫って、
完成した製品を見ただけでは、
なかなか気づかないですよね。

【ウスラタラーズ伯爵】
だからこそ、
見るべきなのだ。
優れた仕事ほど、
使う者には
その苦労を感じさせぬものだからな。

【れいあ】
それから、
いづみ商会さんには、
500以上の金型が
あるそうですよ。

【ウスラタラーズ伯爵】
500以上か。
随分と多いな。

【れいあ】
既存の金型を使うだけじゃなくて、
必要に応じて
新しく金型を作ることもできて、
小ロットの生産にも
対応しているそうです。

【ウスラタラーズ伯爵】
なるほど。
同じものを
大量に作るだけではない。
依頼を聞き、
用途を考え、
必要な形を作る。
積み重ねてきた技術があるからこそ、
さまざまな要望に
応えられるということか。

【れいあ】
そして、
いづみ商会さんは
受注製品だけじゃないんです。
自社ブランドの
「VINYLSKIN」では、
コインケースや
カードケースなど、
軟質塩ビの特徴を活かした
オリジナル商品も
販売しているんですよ。

【ウスラタラーズ伯爵】
ほう。
今度は、
誰かから頼まれたものではなく、
自分たちで
ビニールの可能性を考え、
商品へと変えているわけか。

【れいあ】
はい。
一つの素材でも、
「何を作れるだろう?」
って考えていくと、
いろいろな形に
変わっていくんですね。

【ウスラタラーズ伯爵】
そこが面白いところだ。
素材そのものに、
最初から価値が決められているわけではない。
その特徴を知り、
何に使えるのか。
どう加工すれば良いのか。
どうすれば使いやすくなるのか。
考え続けることで、
新しい価値が生まれる。

【れいあ】
なんだか、
最初に聞いた
「粋なビニール屋さん」
っていう言葉の意味が、
少し分かってきた気がします。

【ウスラタラーズ伯爵】
ふむ。
金属でなければ
匠ではない。
大きな工場でなければ
ものづくりではない。
そんな決まりはない。
身近な素材であっても、
その性質を知り、
技を磨き、
使う者を考え、
より良い形へ仕上げる。
そこには、
確かな匠の仕事がある。

【れいあ】
燕三条のものづくりって、
包丁や工具みたいに
目立つものだけじゃなくて、
それを包むものや、
守るものまで、
いろいろな技で
つながっているんですね。

【ウスラタラーズ伯爵】
ようやく、
見えてきたようだな。
完成したものだけを見るのではなく、
その材料は何か。
どんな技術で作られているのか。
誰の仕事が支えているのか。
そこまで目を向けること。
それもまた、
匠を知るということなのである。

【れいあ】
ふふっ。
こうやって知っていくと、
普段なら気づかずに
通り過ぎてしまうものにも、
ちゃんと技があるんだって
分かりますね。

【ウスラタラーズ伯爵】
悪くない理解だ、れいあ。
ならば――
少しは、
諸君らの見る目も
養われてきた頃だろう。

【れいあ】
……あ。
伯爵。
その言い方は、
もしかして……。

【ウスラタラーズ伯爵】
察しが良くなったではないか。
ここで諸君らに、
次の試練を与えよう。

【れいあ】
やっぱり!
でも、
ここまで一緒に見てきたあなたなら
きっと大丈夫です。
よーく考えて、
答えを選んでくださいね!

【ウスラタラーズ伯爵】
ふむ。
目に見えるものだけに
惑わされぬことだ。
諸君ら自身の目で考え、
用意された三つの答えの中から、
正解を導きたまえ。
諸君らの観察力に、
期待しているよ。


謎解きKOUBA-1

謎解きKOUBA-1

 

回答A

回答B

回答C