解説-19 福顔酒造 株式会社


【れいあ】
あっ……!答えは、「こうじ」ですね。
日本酒づくりに欠かせない、大切な存在です。
【ウスラタラーズ伯爵】
……御名答だ、諸君ら。
こうじ。米を酒へと導く、見えざる職人である。
【れいあ】
見えざる職人……。
たしかに、お酒って米と水だけでそのまま生まれるわけじゃないんですよね。
【ウスラタラーズ伯爵】
その通り。米の力を引き出し、発酵へとつなぐ。
こうじが働くことで、米は少しずつ姿を変えていく。
【れいあ】
福顔酒造さんは、五十嵐川の超軟水の伏流水を使っているんですよね。
そのやわらかな水と、米と、こうじが合わさって、まろやかなお酒になっていくんだ……。
【ウスラタラーズ伯爵】
ふむ。水は酒の芯を整え、こうじは米の奥に眠る力を起こす。
どちらが欠けても、福顔の味には辿り着けぬ。
【れいあ】
なんだか、鍛冶にも似ていますね。
火だけでも、鉄だけでも、道具にはならない。
素材を知って、時間をかけて、人の手で仕上げていく。
【ウスラタラーズ伯爵】
悪くない理解だ、れいあ。
酒造りもまた、匠の技である。急かせば崩れる。見誤れば濁る。
待つべき時を知る者だけが、よい酒へ辿り着く。
【れいあ】
「福顔」って、飲んだ人が笑顔になるようなお酒を造りたい、という想いから来ているんですよね。
こうじって、その笑顔を生み出すための最初の大切な仕事をしているんだ……。
【ウスラタラーズ伯爵】
その通り。表に立たぬものほど、本質を支えていることがある。
こうじも、蔵人の手も、この土地の水も。目立たぬ力が重なって、一杯の酒は生まれるのだ。
【れいあ】
……すごいですね。
福顔酒造さんのお酒って、ただ飲むものじゃなくて、三条の水と時間と人の想いが一本に込められているんですね。
【ウスラタラーズ伯爵】
ようやく見えてきたようだな。
匠とは、形ある物だけを作る者ではない。
香りを育て、味を整え、人の心までほどく。
それもまた、守るべき技である。
さて――
諸君らの観察力、なかなか見事だった。
次の場所でも、その目を曇らせぬことだ。期待しているよ。
